建設業許可ーコラムー

出向社員

出向とは、自分の会社ではない会社で勤務することで、建設業では、親子会社間などで比較的よく利用されます。他の会社からの出向社員が、経営業務の管理責任者や専任技術者になることも認められる可能性があります。関東地方整備局をはじめ、各審査行政庁の経営業務の管理責任者要件の確認資料欄にあえて出向社員の記載があることに鑑みても、出向社員が建設業界において多数かつ重要な位置を占めていることが推測できます。経営業務の管理責任者では、出向者の要件該当性において、常勤性が審査のポイントになります。出向契約書等で出向先の賃金負担割合やその賃金額により、出向先(許可申請業者)が常勤に見合う賃金を負担し、実態は出向元への勤務でないかを確認します。出向形態や各出向者、そして審査行政庁によって、社会保険は出向元・出向先どちらが負担しているか、給与の振り込み状況はどうか(複数月確認することも)など、常勤であることを多角的に審査されることが多いので、注意が必要です。

 

他社の役員に就任している場合

企業の経営者は、「横のつながり」を重視している以上、さまざまな企業体のさまざまな役職に率先して就くことが多いです。他方、ある程度規模が大きい企業となると、関連子会社をつくって事業部門を分けたりして、親会社・子会社の役員を兼任することもよくあります。

建設業許可要因としての「経営業務管理責任者」は「役員」としての「常勤」性が求められる以上、経営者が他社の役員に就任している場合は要注意です。許可を受けようとする法人で常勤であるということは、他社の役員としては非常勤であることが前提となるからです。

この場合、他社において平取締役である場合は、その平取締役業務が非常勤であることの裏付けが必要になります。他社において代表取締役の場合は、さらに注意が必要で、代表取締役に非常勤は通常あり得ない以上、複数代表制となっているか、他社で就任している代表取締役を退任するか、の対応・裏付けが必要になります。また、常勤性の確認資料として求められる社会保険関連において、この役員が申請予定の法人に属していることが確認できるかどうかも忘れてはなりません。

申請前においては、申請予定の法人のみならず、周辺の法人関連情報も確認しておきましょう。

 

廃業届と「立つ鳥跡を濁さず」

「許可」とは、法令上一般的に禁止されている行為について、特定の場合にその禁止を解除し、適法に行えるようにすることをいいます。建設業許可はまさに「特定の場合」、すなわち申請者が許可要件に該当する場合において、建設業の営業行為の禁止を解除し、建設工事を適正に行えるようにする行政行為です。

もっとも、許可業者が廃業する際はどうでしょうか。会社をたたむときは、許可審査行政庁に廃業届を提出しない限り、許可によって建設業の営業禁止を解除した状態がそのまま維持されてしまうことになってしまいます。

この点、廃業する側からすれば、営業行為自体を終了するのだから、許可取得時の状態を放置していても問題ないように思えます。しかし、廃業届を出さないと、許可取得状態が維持され、その会社にいる経営業務の管理責任者や専任技術者は、理屈の上では営業所に常勤していることになります。

こうした点は、その会社で経営業務の管理責任者や専任責任者であったものが、別の会社で許可を取得する場合等において影響します。

すなわち、廃業する会社内の人間が独立し、新規で会社を設立して建設業を行うとき、又は、他の会社に転職して経営業務の管理責任者や専任技術者の地位に就こうとするとき、廃業会社における許可情報が残存しているため、許可行政庁より常勤性に疑問をもたれてしまい、あるいは、その後の新規会社もしくは転職先会社における経験性についても、廃業の届出を出していないために廃業会社との二重経験ともとられえられかねず、新たな場所で許可等を取得する際に非常に困ることになりかねません。

禁止された行為を解除してもらっていたことを最後に理解し、残された人間に迷惑をかけることがないよう、「立つ鳥跡を濁さず」の精神で会社の閉鎖や廃業届提出を行うことが重要です。

 

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